第8章 レーザーと安全・環境

3. レーザー微量分析技術

著者:桑子 彰

1. はじめに

気体・液体・固体試料に対して短パルス・高輝度のレーザー光を照射すると、試料の一部がアブレーションにより蒸発し、原子化およびプラズマ化される。このレーザー誘起プラズマからの発光を分析することによって試料中の元素分析を容易に行うことができる。この分析法をレーザー誘起プラズマ分光(LIPS;Laser-induced Plasma Spectroscopy)あるいはレーザー誘起ブレークダウン分光(LIBS;Laser-induced Breakdown Spectroscopy)と呼ぶが、現在は後者(LIBS)の呼び方が一般的である。LIBSの基本的な体系を図1に示すが、試料への操作がレーザー光の照射のみであるため、迅速かつ簡便な元素分析が可能である。LIBSは1960年代からスパーク分光法の1つとして開発が進められたが、1990年代に入りレーザー装置(特にQスイッチNd:YAGレーザー)と分光機器の飛躍的な性能向上および低価格化により急速にその適用範囲を広げつつある1〜4)

2. 原理

LIBSによるプラズマ発光プロセスの概要を図2に示す。試料に短パルスレーザー光を集中させると、集光点でプラズマが生成される。このプラズマはレーザー照射直後では1万度℃以上の高温となり、試料中に含まれる元素が容易に原子化およびイオン化される。この励起状態のイオンないしは原子が放出する蛍光の波長とその強度から試料中に含まれる元素とその濃度の定量が可能となる。なお、プラズマ生成直後ではプラズマ温度が高く、黒体輻射やイオンの再結合時の放射により連続波長成分のバックグラウンド光が強い。このため、LIBSではプラズマの冷却が進みバックグラウンド光が減衰した後に、測定対象元素の蛍光寿命に合わせた時間幅で蛍光を時間分解計測するのが一般的である。


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