第5章 ミクロレーザープロセシング

4. エピタキシャル成長

著者:吉本 護、原 和香奈

1. 薄膜合成におけるレーザーアプレーションプロセスの特徴

 レーザーアブレーション(laser ablation)法、またはパルスレーザー堆積(Pulsed Laser Deposition:PLD)法と呼ばれている薄膜合成プロセスでは、ターゲットと言われるペレット状の固体原料に高パワー密度を持つ紫外域から可視域(波長:約200nm〜700nm)のパルスレーザーを集光照射し、ターゲット成分を瞬時にアブレーション(ablation:除去)蒸発させることで、対向の位置にある基板上に薄膜を形成する。図1にPLD成膜装置の概略図を示す。基本的な構成としては、(ⅰ)レーザ一光源および光路導入系、(ⅱ)レーザー導入用の窓が付いた真空装置、(ⅲ)真空装置内のターゲットおよびその対向位置にある基板、(ⅳ)ガス導入系、などである。また、膜成長機構などを調べるために、四重極質量分析装置(QMS)、発光分光装置(OES)、反射高速電子線回折装置(RHEED)などが取り付けられることがある。装置上の特徴を挙げると次のようになる1)

  • (ⅰ) レーザー光源として主に用いられるのは、パルス状に発振する紫外域(波長:200nm〜300nm)のエキシマレーザー(ガスレーザーの一種)である。最近では、小型大出力の固体レーザーであるNd:YAGレーザーの高調波(波長:532nmまたは355nm)なども用いられるようになっている。
  • (ⅱ) 成膜中、経時変化の少ない安定なアブレーションを起こさせるためにターゲットを回転させることが多い(約10〜20rpm)。また、複数のターゲットを真空装置内にセットしておき、積層膜や組成変調膜を作製することもある。
  • (ⅲ) ターゲットと基板間の距離としては、5cm〜15cm程度であるが、成膜時の真空度やターゲット組成に応じて距離の調整も必要になることがある。
  • (ⅳ) ターゲット表面へのレーザー光入射角度は、導入窓へのアブレーション成分の付着をなるべく低減させる観点からも、ターゲット表面に対して30度〜50度付近が一般に用いられている。

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