第5章 ミクロレーザープロセシング

3. レーザーアニーリング

著者:加藤 修

1. はじめに

 レーザーアニールとはYAG、CO2、エキシマレーザー等を用いて照射部を熱的に励起し結晶に含まれる欠陥を修復したり、不純物を拡散・活性化したりすることを言う。レーザーアニールの代表例としてエキシマレーザーを用いたアモルファスシリコン(a-Si)薄膜の結晶化がある。エキシマレーザーでは照射された部分の表面のみが加熱されるので、基板やその他の部分を加熱することなく(熱的なダメージを与えることなく)処理することができる。本節ではエキシマレーザーアニール(Excimer Laser Annealing:ELA)について述べる。

2. 低音ポリシリコン TFT

 薄膜トランジスタ方式液晶ディスプレイ(TFT-LCD)に使用されるTFT素子用半導体材料はa-Siからポリシリコン(多結晶シリコン:p-Si)に置き換わりつつあり、携帯電話やデジタルカメラの高解像度ディスプレイのTFT(Thin Film Transistor)には低温ポリシリコン(LTPS)TFTが用いられている。その理由は、p-Si TFTはこれまでLCD用の画素スイッチとして使用されてきたa-SiTFTに比べ100倍以上の高速動作が可能で、LCDの周辺駆動回路をも同時に形成できるという特長を持っているからである。そのため、ドライバICとの接続技術が不要で大容量・高精細なLCDがコンパクトかつ低コストに製造できるという利点がある1,2)
 低温プロセスでp-Si膜を形成する方法としては、大きく分けて3つの方法が提案されている。1つ目は、a-Si膜を成膜後、600°C程度で長時間の熱アニールを行い固相成長させる固相成長技術(Solid Phase Crystallization:SPC)、2つ目はプラズマCVD(PE-CVD)法で直接p-Si膜を低温成膜する低温多結晶膜成膜技術、3つ目がレーザー光を使ってa-Si膜をいったん溶融し、p-Si膜に再結晶化する技術である。この中で、現在一般的に使われているのがELA技術である3)
 p-SiTFTは以前は石英基板上に1000°C以上のプロセス温度で形成する、いわゆる高温p-SiTFTが実用化されていたに過ぎなかったが、安価なガラス基板を用いることのできる低温p-SiTFTが実用化されたことにより幅広い応用が可能となった。この低温シSiTFT形成の核となる技術がELAである4)

3. ELA技術

3.1 ELAによる結晶化

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