第4章 マクロレーザープロセシング

6. 変態硬化および溶融硬化

著者:柴田 公博

1. はじめに

 材料加工にレーザーを用いる技術の中で、比較的古くに実用化されたのがレーザーによる鉄の変態硬化、いわゆるレーザー焼入れで、1974年には米国のジェネラルモーターズ(GM)社が鋳鉄製のパワーステアリングギヤーハウジングの耐摩耗性を上げるためにレーザー焼入れを実用化し、この部品を量産しているしかしその後は、レーザーを変態硬化や溶融硬化などの材料の表面改質に応用する技術は、切断や溶接など他のレーザー加工のようには大きく発展せず、報告されている実用化例も少ない。しかしながら、レーザーによって材料の表面を局所的に改質したいという潜在的ニーズは強く、さまざまな研究開発が進められている。本節では、レーザーによる変態硬化および溶融硬化について、その原理と特徴、実用化例ならびに今後の展望について述べる。

2. レーザーによる変態硬化

2.1 原理と特徴

 変態硬化は実用的には鋳鉄や鋼を対象としており、その概念図を図1に示す。発振器からでたレーザービームをレンズやミラーなどの光学系を用いて104W/cm2程度のパワー密度に集光あるいは成形し、被加工物表面に照射すると、レーザービームのフォトンと材料表面の電子との相互作用により、表面のごく薄い層が急速に加熱される。この加熱によりオーステナイト相に変態した領域は、続いて起こる熱の被加工物内部への拡散により急速に冷却(自己冷却)され、マルテンサイト相へ変態し、硬化する。このレーザー焼入れには従来の焼入れ法と比べて、以下のような特徴がある。
(1) 硬化深さは一般に浅い。
(2) 入熱量が少ないために、焼入歪の発生が少ない。
(3) 穴や溝の内面の焼入れや、複雑部品の局所的な焼入れが可能である。
(4) 自己冷却のため、冷却剤が不要である。
(5) 焼入れ処理に要する時間が短い。

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