第3章 プロセス装置

2. プロセス用レーザー

6. ファイバーレーザー

/ 著者:辻 正和

6.1 はじめに

材料加工分野に利用が可能な高出力ファイバーレーザーの開発がIPGフォトニクスで本格的に開始されたのは2000年度からでありわずか5年で20kW出力機を開発し急速な進歩を遂げている。IPGフォトニクス自身も1990年にバレンタイン・ガポンセフ博士(Dr.Valentin Gapontsev)によりロシアで創業された。当初は光通信用のアンプリファイアーとして開発され世界的なITの発展と共に驚異的な成長をとげていたが、2000年のアメリカでのITバブル終息で業績が大きく後退しIT主力の形態から脱却すべく高出力ファイバーレーザーの開発を行い材料加工分野への進出を加速した。IPGファイバーレーザーの高出力化は他の固体レーザー及びCO2レーザーに比べて容易であり100kW出力機の開発も可能な状態にある。レーザーの歴史において短期間にこれほどの高出力化と高ビーム品質化を実現したレーザーは他には無いといえる。表1にIPGファイバーレーザーの開発歴史と獲得出力を示す。IPGファイバーレーザーの特長、性能と高出力、高ビーム品質によるメリットとそのアプリケーションについて紹介する。

6.2 IPGファイバーレーザーの特徴

レーザーは非接触加工でプレス加工のような金型の磨耗、機械加工のようなツールの消耗がなく高密度エネルギーを加工点に正確に照射し切断、溶接、熱処理、曲げ加工ができるスーパーツールということができる。しかし、高密度エネルギーニレーザー光を生産現場で安定して発振させレーザー光を加工目的に応じて最適な品質で維持するには非常に高度で繊細な管理が要求される。例えば、冷却水は偏差±0.5°C以下に制御、年に数回の発振器クリーニングとアライメント調整、励起光源の交換等生産現場ではできない非日常的な作業が要求されるために高額な費用を負担してメーカーの技術者に作業を委ねなければならない。また、このような管理をしていても励起光源が一つでも破損すると熱バランスが変わりアライメントが維持できなくなり急なレーザー発振停止に陥ることがある。IPGファイバーレーザーは発振器に光学部品(ミラー、レンズ)を使用しておらず高度な冷却制御・アライメントは不要で今までのレーザーとは概念が大きく異なる。メンテナンスフリーにより生産現場で安心して使用できるレーザーといえる。

6.3 ファイバーレーザーの原理と構成

無料ユーザー登録

続きを読むにはユーザー登録が必要です。
登録することで3000以上ある記事全てを無料でご覧頂けます。
SNS(Facebook, Google+)アカウントが持っているお客様は、右のサイドバーですぐにログインできます。 あるいは、既に登録されている方はユーザー名とパスワードを入力してログインしてください。
*メールアドレスの間違いが増えています。正しいメールアドレスでないとご登録が完了しないのでお気を付けください。

既存ユーザのログイン
   
新規ユーザー登録
*必須項目