第3章 プロセス装置

2. プロセス用レーザー

5. ディスクレーザー

著者:門屋 輝慶

5.1 ディスクレーザーへの期待

ロッドタイプの固体レーザーでは、近年ランプにかわって半導体レーザー(Laser Diode:LD)を励起源とするLD励起ロッドタイプNd:YAGレーザーが、エネルギー変換効率が高く、熱レンズ効果が比較的小さいためレーザービームの品質が良好なことから、多くの分野で採用されはじめている。しかしながら、発振固体としてロッド形状を採用している限り、熱レンズ効果の発生は避けられず、ビーム品質の向上に限界がある。そこで、ロッド形状にかわってディスク状の発振固体を採用することにより、ビーム品質を格段に向上させるディスクレーザーが実用化されている1〜3)。これにより、熱レンズ効果を極めて小さく、エネルギー変換効率をさらに高くできる。

5.2 ディスクレーザーの基本構成

図13)は、ディスクレーザーのデザインの原理を示している。ディスクレーザーは、ロッドの代わりに、厚さ約100〜200μm、直径数mm(必要とする出力によって径が異なる)の、ディスク状の結晶を採用している。
ディスクの背面に、LDからのレーザーやディスクで発生したレーザーを反射させるコーティングがされており、これをリアーミラーとし、アウトプットカップリングミラーとで共振器を構成している。
ディスクはヒートシンクに取り付けられ冷却されるため、発振固体の熱放散を容易にして、レーザービームに平行した熱フローが生じ、ディスク表面が均質の温度分布を示し、熱レンズ効果がほとんど無視できる。(図2)
LDからのレーザーは、放物面鏡によりディスクに集光される。ディスクが非常に薄く、一度の照射ではごく一部しか吸収されず、そのためLDからのレーザーの吸耳又効率を上げるために、放物面鏡とディスクの背面の周囲に取り付けられた反射鏡でディスクへの照射が繰り返される(図3)。
しかしながら、LDからのレーザーが重複して照射されることは、結果としてエネルギー密度の高いレーザーがレーザー媒質を励起することにもなる。
レーザー媒質としては、808nmの波長のLDで励起されるNdよりも、940nmの波長のLDで励起されるYbのほうが、LDからディスクレーザーへの変換効率がはるかに高い2)。ただ、Ybはエネルギー変換効率は高いが、励起のためにエネルギー密度の高いレーザーが必要なため、レーザー発振が困難である。そのため、通常のロッドYAGレーザーにはレーザー媒質としてYbを採用できない。しかし、ディスクレーザーは、上述のごとくLDからのエネルギー密度の高いレーザーを照射できることで、Ybの採用が可能になっている。この場合、このレーザー発振器をディスクタイプYb:YAGレーザーと呼んでいる。
低出力のディスクレーザーでは、ドーピング材としてYbだけではなくNdを使う場合もある。また、結晶もYAGのほかにYVCUやKYWも採用されている。
ディスクレーザーは、LD励起ロッドタイプYAGレーザーと比べ、ビーム品質は約4倍向上し1kW以上の高出力でも3mm-mradが得られる。また、1個のディスクからの出力は、1個のロッドからの出力をはるかに超えて高出力化が可能である。

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