第3章 プロセス(加工)装置

2. プロセス(加工)用レーザー

1. エキシマレーザー

著者:溝口 計

1.1 エキシマレーザーの特徴1)

最初のエキシマレーザーの提案は1966年にソ連のBasovによってなされ、1970年に発振に成功した比較的歴史の新しいレーザーである。「エキシマ」の語源は、初期に発見された希ガスエキシマレーザーの同種の2原子が結合した状態を示す“excited dimer”から来たもので、現在主流の異種原子の結合体を利用した希ガス・ハライドエキシマレーザにもエキシマの名前が使われている。
エキシマレーザーは、紫外領域で高効率かつ高出力で発振するレーザーとして理化学研究用、産業応用において広く利用されている。特にXeCl、KrF、ArFレーザーは高出力、高効率の動作が可能であり、重要な光源である。他の波長域で産業用として実用化されているCO2レーザー、YAGレーザーに次ぐ効率と高出力が実現されて製品化されている。エキシマレーザー出現以前は紫外領域でイオンレーザー、N2レーザー、YAGレーザーの高調波などが利用されていたが出力、効率共に低かった。

エキシマレーザーの特徴をまとめると:

① 高出力、高効率。
② 近〜深紫外の短波長領域の光で光化学作用が強い。
③ パルス幅が数十nsと短く尖頭値が高くアブレーション等に適している。
④ バンドフリー遷移でスペクトル幅が広く、波長選択素子でチューニング可能。
⑤ 高ゲインで発振するため光源として低コヒーレンス。

こうした特長を活かしたエキシマレーザの用途としては、半導体露光用光源、TFT液晶パネルのアニーリング、インクジェットノズルやプリント基板などの微細樹脂加工、硝子材に屈折率変化を誘起させる光ファイバー加工(FBG)などが知られている。
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