第2章 プロセス技術の基礎

6. 過去と現在の比較

著者:坪井 泰之

1. はじめに

 初期のルビーレーザーの代表的なデモンストレーションは、カミソリの替刃の穴あけであった。それから数10年が経過し、レーザープロセシング技術やそれを支えるレーザー装置技術並びに周辺技術は今や多岐に渡る。それら全てに関し「過去と現在」を比較することは紙数がとても許さない。それらの進展に関しては、本書の各節で紹介されているので、本節では「第2章プロセス技術の基礎」にのっとり、「プロセスの基礎過程」の変化を概観する。特に、レーザープロセシング分野において進展著しいと思われるパルスレーザーによる加工の基礎機構に関し、過去から現在までの変遷を実感して頂くこととする。

2. プロセス基礎過程:’60〜’70年代

 金属鋼材の切断や溶接におけるCWレーザーと加工対象物質の相互作用は光熱効果に基づくものであり、この機構は歴史とともに大きく変るものではない。ここでは、近年の話題豊富なパルスレーザー加工における基礎過程の歴史を振り返ってみよう。パルスレーザー加工の基礎過程は、パルスレーザーの発展とともに変遷してきた。表1に、パルスレーザーの発展の年表をまとめた1,2)。着実な進展が見て取れるが、固体材料のパルスレーザーによる改質や損傷の生起は、レーザーの発明(1960)からそれほど間をおかずして報告されている。それらは、高い輝度のパルスレーザー光を集光すると固体内に“クラック”が発生する「レーザー破壊(損傷)」3)と、クラックは発生しないものの、集光部分に局所的な屈折率変化が誘起される「レーザー改質」4)に大別される。後者を報告しているのは(1966)、後にレーザートラッピングで名を馳せるA.Ashkin博士である。現在、レーザー改質は次世代高密度光メモリへ応用されつつあり、平尾ら5)や三澤ら6)は元素イオン添加ガラスとフェムト秒レーザー加工を駆使し、ユニークな研究を展開している。詳細は文献を参照されたい。本節では、前者の「レーザー破壊」について詳述する。


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