第2章 プロセス技術の基礎

2. レーザープロセスの基礎課程

著者:矢部 明

1. 光物理・光化学初期過程

1.1 概要

 物質(素材、材料)をプロセシング(加工)するために、どのような現象を用いればよいか、どのようなレーザーを照射すればよいか、どのような条件が必要かなどを検討する出発点として、物質にレーザーを照射して初めに何が起きるかの光物理・光化学初期過程を理解しておくことが必須である。
 すなわち、レーザープロセシングは物質とレーザー光(光子)との相互作用から始まり、励起状態を経て、物質の分解、反応、電子移動、プラズマ生成、熱溶融、物質移動などの現象が誘起され、目的のプロセス技術が達成される(表1)。
 ここでは、レーザープロセスの便覧を意図して、光物理・光化学初期過程の全般を網羅するとともに、はじめに定常光の光源で確立された(もちろんレーザープロセスの場合でも適用する)光物理・光化学の基礎となる光吸収過程を、ついでレーザーの登場により一般的になった非線形光吸収過程を重点的に解説する。

1.2 光吸収
1.2.1 光吸収の効率と吸収スペクトル

 一般に物質にレーザー光を照射したとき、固体に限らず、気体や液体でも、光吸収、光透過、光反射が起きている。それらの比率は物質固有の値であり、同一物質でも構造や状態によって異なる(図1)。
 例えば、フッ素樹脂の代表であるポリ四フッ化エチレン(PTFE)の薄膜において、吸収スペクトルの極大は真空紫外光領域の161nm(7.7eV)であり、紫外光や可視光領域では吸収効率は極めて低いが、微粒子から作製された膜厚素材になると、可視光や赤外光はPTFE膜の内部へ浸透し散乱光が強くなり、その一部が光吸収されるようになる1)
 プロセスを検討する際に、光吸収の効率を知ることが最初の課題であり、重要である。入射光の強度Ioと透過光の強度Ioとの関係はランベルトの法則(Lambert’slaw)によって表わされる。

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