光免疫療法における直接的、間接的な役割

 光免疫療法においては、直接がん細胞を殺傷する作用だけでなく、患者自身のがんに対する免疫を活性化することで、間接的にがん細胞を攻撃できるという点も重要である。光免疫療法によりがん細胞が破壊されると、がん細胞の中からがんに特有の物質(がん抗原)が周囲に放出される。一方、がん細胞の近くにいる免疫細胞はダメージを受けていないので、放出されたがん抗原を取り込み、壊れたがん細胞と同じ細胞に対する免疫が誘導される。このがん細胞に対する免疫の活性化により、患者自身の免疫システムが、がん抗原を持っているがん細胞に対して攻撃を始め、光免疫療法後に生き残ってしまったがん細胞に対してさらに攻撃することができる。このがん細胞を攻撃する免疫細胞が、光照射をしたがん病変から全身に循環することで、遠く離れた場所の転移がんに対しても治療効果を発揮することが期待される。また、光免疫療法により、がん細胞に対する免疫を獲得あるいは増強すると、感染症に対するワクチンの場合と同様に、同じがんが再発しないように予防する効果も期待できる。

光免疫療法における臨床

臨床においては、抗EGFR抗体のセツキシマブとIR700を結合した点滴薬である「アキャルックス(一般名・セツキシマブ サロタロカンナトリム)」および近赤外光を照射するためのレーザーシステムである「BioBlade(バイオブレード)」が、昨年9月に日本において世界初承認され、今年1月に保険診療で使えるようになった。実際の治療法としては、まずアキャルックスを点滴投与し、20~28時間後にレーザー光を照射することになる。光免疫療法を実施後、完全奏功が得られない場合は、4週間の間隔を空けて、最大4回まで同じ治療を繰り返すことが可能である。レーザーの照射については、がんの位置や大きさにより「フロンタルディフューザー」もしくは「シリンドリカルディフューザー」を用いて1サイクル5~6分間で行う。フロンタルディフューザーでは、表面にある表在性腫瘍に対して円形の光を照射することができ、照射範囲は17~38 mmまで調節できる。シリンドリカルディフューザーは、針のついたニードルカテーテルを病変に刺し、カテーテルの内腔に光ファイバーを挿入して、腫瘍の内部からレーザー光を照射するもので、ディフューザーの周囲約10 mmに光が届く。


シリンドリカルディフューザーとフロンタルディフューザーの様子
(参照文献を元に光響が作図)
(参照:M. Tahara, A phase I, single‐center, open‐label study of RM‐1929 photoimmunotherapy in Japanese patients with recurrent head and neck squamous cell carcinoma, International Journal of Clinical Oncology, Springer, 2021)

参考文献:
Kobayashi H, Choyke PL. Near infrared photoimmunotherapy of cancer. Accounts of Chemical Research 2019;52(8):2332-2339.

光免疫療法関連製品ラインナップ

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腫瘍に特定の波長を照射するレーザー発振器
レーザーを効果的に照射するディフューザー

製品名/メーカー バッオリジナルデバイス (バイオメディカル / OEMモジュール) / Modulight
特長 ML7710は、全ての既知の光増感剤をサポートする各種医療用途に適した、ターンキーレーザーシステムプラットフォームであり、安全性及び操作性に必要な全ての機能を備えています。標準的特徴には、使い易いタッチスクリーンユーザーインターフェースと、それぞれ個別にアドレス可能な多様なファイバ出力チャンネルと、照準ビームと、スマートインターナルキャリブレーションモジュール、足/手スイッチ、ファイバーセンサーとゼイフティーインターロックとが含まれています。
設計及び製造プロセスは、ISO13485:2003に基づいて実施され、設計はIEC60601及びFDA CDRH 21CFR1040.10の要求及び規則を満たしています。8チャンネル迄で、400-2000nm 及び0-15Wに渡る全ての構成との稼働が証明されています。

Tabletop system ML7710 PDF
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腫瘍に特定の波長を照射するレーザー発振器

製品名/メーカー ファイバーカップリングレーザーシステム / CNI
特長 FCシリーズ(Fiber Coupling Laser System)は、1つの箱に集積型半導体レーザー、レーザーキャビティ、ファイバーカップリング光学素子、レーザー電源、LD駆動電流と温度の制御機能が入っています。コンパクトでかつパワー調整、温度制御、LEDディスプレイなどの便利な機能がついており、励起光源、研究、産業および医療用途に非常に適しています。

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LaseView-LHB

レーザーが効果的に照射できているかを確認するのに必須の「ビームプロファイラ」

製品名/メーカー 大口径・高出力対応ビームプロファイラ / 光響
特長 大口径・高出力対応ビームプロファイラ(LaseView-LHB)は、世界で最も大きなビームを測定できる類を見ない製品です。多数のLEDや半導体レーザーの同時発光評価などにも使われております。これ一台で幅広くお使い頂けます。
弊社でソフトもハードも開発しているためカスタム可能です。
ソフトウェアはユーザビリティが高いと評価されている「ビームプロファイラ with M2 プラットフォームソフト LaseView」を採用しています。各種解析機能を備えており、大変使いやすいビームプロファイラです。Lidarの評価機としても多くのお客様に使われております。

LaseViewLHBシリーズカタログ
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ご参考:
(株)光響が提供する製品情報:
ビームプロファイラ(日本語Webサイト)
Beam profiler(English Web site)