第7章 最先端加工

6. 表面レリーフ型回折格子

著者:西井 準治

1. はじめに

 回折格子は、光メモリピックアップや光通信デバイスなど、様々な製品に使われている。また、表面に回折格子を形成することで収差補正を兼ね備えたカメラレンズなども市販されるようになった1〜2)。古典的な回折素子の多くは、ルーリングエンジンで原器を作製し、レプリ力法によって樹脂に格子パターンを形成することで量産されてきた3〜4)。最近では、複雑な形状の回折格子が要求されることから、半導体微細加工が用いられる場合が多いが、コスト高が問題となっている。そこで注目されているのがレーザー干渉光でのレジストのパターニングとエッチングの併用や、レーザー光での材料の直接加工である。

2. レーザー2光束干渉法による回折格子の作製

 光の回折は振幅変調型と位相変調型に分けられるが、回折素子の効率の点では後者が有利である。位相変調型回折素子には、表面レリーフ型と屈折率分布型がある。表面レリーフ型回折格子の製造方法には、ルーリングエンジンによる機械刻線法3〜4)とレーザー干渉露光法引の2種類がある。ここでは、レーザー干渉露光による表面レリーフ型回折格子の作製方法について解説する。一般的な干渉光学系を図1に示す。レーザー干渉露光法は1960年のレーザーの発明から本格的な研究が始まった。図2はブレーズ型回折格子形成のイメージ図である。この方法の優位性は、分光器などに用いられる大面積の回折格子が短時間で作製できる点にある。ただし、オリジナルの回折格子は高価なため、通常はエポキシ樹脂などへの転写によるレプリカ品が市販される。光源にはArイオンレーザー(波長514.5、488nm)や、He-Cdレーザー(波長442、325nm)等の連続発振のレーザーが用いられる。図3は波長325nmのHe-Cdレーザーを光源に用いた2光束干渉露光によるi-線レジストのパターニング例である。メーカーが保証する最小線幅は1μm程度であるが、図から明らかなように、線幅100nmの微細パターンが得られる。最近では、可視〜紫外域で波長と同等あるいはそれ以下の周期を有する回折格子のニーズが高いが、安価な光源とレジストを用いてもこのような微細なパターニングが可能であることから、今後の展開が期待される。一方、より高い解像度を実現するために、紫外域での安定な連続発振が可能なYAGレーザー(波長266nm)の使用も注目されている6)。この場合、湿度に敏感なKrFステッパー用レジストを用いる必要があり、試料のハンドリングが難しくなる。

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