第7章 最先端加工

2. 極短波長加工

著者:杉岡 幸次

1. はじめに

 今日レーザー加工、とりわけレーザーアブレーション加工において、短波長化および短パルス化は、精密微細かつ高品質な加工を行う上で、常識となっている。短パルス化は、加工領域周辺への熱影響を低減するのに有効であり、かつ多光子過程による非線形現象を用いれば回折限界をはるかに超える微細加工も可能である。詳しくは第7章第1節を参照願いたい。本節では、もう一つの精密微細化への要因である極短波長加工に関して記述する。加工において波長が短ければ短いほど、以下の三つの点において有利である。

1.1 加工解像度の改善

 レーザー光をレンズで集光した場合、その回折限界集光スポット寸法Rは

で与えられる。ここでkはプロセス定数、λはレーザー波長、NAは集光レンズの開口数である。すなわち波長久が短ければ短いほど、集光スポット寸法Rは小さくなる。例えばk=0.7とし、NA=0.4(倍率20倍程度)の対物レンズを用いれば、波長157nmのF2レーザーの集光スポット寸法Rは約270nmとなる。またX線領域の波長を用いれば、現状では集光光学系に問題は残るが、100nm以下のナノ加工も十分期待できる。
 

1.2 吸収係数の増大

 レーザー光で物質を加工する場合、レーザー光のエネルギーが物質に蓄積されることが必要である。従って、レーザー光は物質に吸収されなくてはならない。特に高品質なアブレーション加工を行いたい場合、レーザー光が効率よく吸収されること、すなわち吸収係数が大きいことが重要である。一般に物質の吸収係数は、波長が短いほど大きくなる。

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