第1章 プロセシング(加工)入門

1. プロセシング(加工)の歴史

著者:難波 進

1. レーダー(RADAR :からレーザー(LASER)へ

20世紀後半のエレクトロニクスは、半導体エレクトロニクスと光エレクトロニクスを車の両輪として飛躍的な進歩を遂げてきたと言っても過言ではない。簡単のために、エレクトロニクスの進歩に大きな影響を与えた出来事を10年ごとに示すと表1のようになる。半導体エレクトロニクスの原点はトランジスタの発明であり、光エレクトロニクスの原点はレーザーの発明である。これら戦後の2大発明がいずれもアメリカでなされたことに注目したい。これらの発明の源流にさかのぼると、第2次世界大戦前の1940年頃にスタートした巨大プロジェクト研究の1つであるレーダー※1の開発研究に行き当たる。アメリカはこのプロジェクト研究に当時の金額で25億ドルという巨大な費用と優秀な人材を惜しみなくつぎ込んでいる。ちなみに同じ頃に行われた原爆開発研究プロジェクトのマンハッタン計画には20億ドル使われている。戦後、MITから出版された“Radiation Laboratory Series”という数10冊の書物が有るが、之はレーダー研究の報告書と言っても良いが、1960年頃まで我々日本のエレクトロニクス研究者にとってのバイブル的存在であったことを考えると、この研究の奥の深さと幅広さが伺える。

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