43・1・1 植物工場とは

農業生産は環境制御の観点からいうと,露地栽培→施設園芸→水耕栽培→植物工場の順で高度化していく.植物工場1)2)とは,野菜や苗を中心とした作物を施設内で光,温湿度,二酸化炭素濃度,培養液などの環境条件を人工的に制御し,季節に関係なく自動的に連続生産するシステムをいう.したがって,各種のセンサ,制御機器,栽培装置,栽培ノウハウなどを含めた総合的なシステム技術ということができる.露地栽培はつねに主流だが,近年は施設園芸すなわちハウス栽培が広く普及し,水耕栽培も徐々に伸びている.これらによって野菜の端境期がなくなり,ほとんどの野菜をいつでも食べられるようになった.植物工場でも制御しやすい水耕栽培を使うが,環境制御や自動化の程度がかなり進んでいるのが特徴である.その長期的な意義は,将来何らかの原因で食糧が欠乏した場合に食績の安全保障になる,いま日本農業が高齢化と後継者不足で低迷しているが,農業のハイテク化によってそれを活性化する可能性がある,そして新しいアグリビジネスとして新産業の開拓という期待がかかっている,の三点にある.

植物工場には太陽光利用型と,もっぱら人工光(ランプ)による完全制御型の2種類がある(表43・1).太陽光利用型は文字通り太陽光を使うシステムで,従来のハウス栽培や水耕栽培の延長上にある.カイワレ大根,ミツバ,葉ネギ,リーフレタスなど各種葉菜類,ミニトマト,イチゴ,バラなどの生産がよく知られている.しかしレタスやホウレンソウ,ハーブをはじめとする葉菜類生産の今後の本命は完全制御型であると考えられる.完全制御型植物工場では完全無農薬,新鮮で栄養価の高い野菜を狭い土地で大量生産することができる.細菌の数が非常に少ないので,洗わずにそのまま食べることができる.さらに生産調節ができ,生産性が高いという意味で理想的な植物工場といえよう.いま実用化が進展しており,必要な技術を持っていれは、商用化寸前のところまできている.実際,リーフレタスを中心にいくつかの葉菜類がサラダやサンドイッチ,焼肉用に出荷されている.

表43・1

近年,有機農産物に人気が集まっているように見えるが,生産物の総合評価では工場生産物のほうがー般的には優れている.太陽光利用型ではそれほどでもないが,完全制御型で作った野菜は環境条件を好適に制御しているので,ビタミン含有量がとても高い.これらの工場生産物の利点が,消費者にあまり知られていないのが残念である.

43・1・2 実際の植物工場

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