38・4・1 光トポグラフィーとは

光トポグラフィーは,生体透過性の高い800 nm近傍の近赤外光を用いて,大脳皮質機能を脳表面に沿ってマッピングすることを目的として開発された.トポグラフィーを英語で記述するとtopography(地勢図)となるが,topoとはギリシャ語のtoposに由来し「場所」(place)を意味する.topographyの原義は地形図を指し,概念としては地図上の各点にさらに1次元の情報を載せたものである.脳の表層を形成する大脳皮質の悩地図(機能地図,髄鞘化地図,解剖地図)は古くからトポグラフィックマッピング(topographic mapping,topogram)と称されてきた35).そのため,光を用いて大脳皮質の機能を計測するこの方法は,光トポグラフィーと名づけられた.

人間の頭部は外側から内側に向かって,頭皮(脂肪層を含む),頭蓋骨,硬膜・軟膜,脳脊髄液層,大脳皮質(灰白質),白質の順に層状構造をなしている.頭皮上から光ファイバで照射した近赤外光は,成人頭部で約20 mm程度の深部にまで到達し,白質や灰白質(大脳皮質)で散乱して再び頭皮外に戻ってくる.この散乱・反射光を,照射位置から30 mm程度離れた位置にある光ファイバで集光し,検出された散乱・反射光の強度変化から大脳皮質での脳活動に伴う血液量変化(局所血行動態変化)をとらえることができる.大脳皮質の局所血行動態変化と脳活動とは密接にリンクしており,この局所血行動態変化を計測することによって脳活動の計測が可能となる.光トポグラフィー法では,この局所血行動態変化を多点で計測し,その変化を静止画および動画像として計測できる.

38・4・2 光トポグラフィーの原理

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