レーザーアブレーションとは,固体あるいは液体などの表面に強力なパルスレーザー光を照射したとき,表面が一気にプラズマ化し,固体表面からは構成物質である原子や分子,イオン,微粒子などさまざまな物質が爆発的に放出される現象である.一般に,レーザーアブレーションが起こるには,照射レーザー強度にしきい値が存在するが,パルスレーザーを固体表面に集光照射したとき,ごく一般的に観測される現象である.固体表面からの粒子放出現象としては,レーザーデソープション,レーザー蒸発があるが,レーザーアブレーションとは次のような点で異なる現象である.前者は固体表面と吸着物の結合が,レーザー光で切断されることによるが,アブレーションより低い照射エネルギーで起こる.一方,レーザー蒸発はレーザー光による局所的な加熱による熱蒸発である.

レーザーアブレーション現象は,ルビーレーザーの発明直後にはすでに理論的研究対象として興味を持たれ1),数年後にはさまざまな応用の試みが報告されている.今日では,加工,材料創製や改質,医療,計測,エネルギー,建築・土木などの広範な分野で利用されている2).図37・1には,レーザーアブレーションに伴うさまざまな物理現象を利用するという観点から,具体的な応用例をまとめた.

図37・1

アブレーションに伴って物質からは各種の粒子群がプラズマ状態となって,高速で放出される.このとき,物質にはその反作用力が働き,物質中を衝撃波が伝わる.この反作用力を利用して物質の鍛造を行う技術はレーザーピーニングと呼ばれ,構造物の材料力学的特性の改善に利用されている.また,レーザー推進やレーザー爆縮(レーザー核融合)も,この反作用力を利用したものである(これについては,44章,45章に述べられる).反作用カは,物質中に衝撃波や超音波を誘起するが,この超音波は物質内の欠陥・構造計測に利用されている.

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