レーザー光のエネルギーが分子に吸収される過程は大別すると二つある.一つは,赤外光(1~10 μm)照射により,分子を構成する原子どうしの核間距離を変化させて振動状態を活発にする振動励起過程である.もう一つは,紫外光(<400 nm)照射により分子の基底状態の電子軌道にある電子が,電子励起した電子軌道に上がる電子励起過程である.これらの光吸収過程により分子が結合エネルギー以上の光エネルギーを得たときに解離反応が起こる.

36・2・1 振動励起による赤外多光子解離過程

図36・11(a)に示すポテンシャル曲線は,電子状態が基底状態である分子の振動状態を表す.この曲線中の横線は振動準位を表している.図中の矢印(複数)のように分子が赤外領域の光子を多光子吸収して,分子振動エネルギー準位が結合エネルギー以上になると分子中の結合が切れる.これを分子の赤外多光子解離という.

図36・11

多原子分子には幾種類もの異なった結合解離過程が存在する.その際の赤外多光子振動励起分解過程においては,分解エネルギーの最も小さい結合の解離過程が優先的に起こる.その理由は,分子内において異なった振動モード間におけるエネルギーの移動は速いため,弱い結合にエネルギーが集中したときに分解するからである.振動モード間エネルギー移動は,振動モードの非調和性により引き起こされる.

使用するレーザーは,i)多光子過程を引き起こすに必要な高ピーク出力(MW級)を有し,ii)多光子吸収過程の初めの段階では,対応する振動遷移のエネルギーにレーザー波長を共鳴させて光吸収効率をあげるため赤外波長可変のパルス炭酸ガスレーザーが一般的である.

36・2・2 電子励起による直接解離過程

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