35・5・1 医療機器と医療機器産業
「医療機器」とは,いわゆる医療機器や医療用に使用する器材,用品など,非医薬品と考えられる,たいていのものを包含し,薬事法では医療用具(medical device)として扱われる.ただし,衛生材料の大部分,リハビリ関係のものは,これに基づく医療用具から除外される.
医療用具を厚生労働省の分類基準に従って整理して表35・11に示す.医療機器と分類される製品の種類は10万点を越えると考えられている.
これらの非常に多くの医療機器の中には,その用途が医療用であるというエレクトロニクス製品,機械製品というものも数多く含まれている.すなわち医療機器の多くは医療以外の技術分野での進歩を医療向けに応用したものといえる.そのような製品にも当然,レーザー加工は応用されているが,本項ではそれらは除外する.
医療用具・機器の国内生産金額および輸出入金額の推移は,厚生労働省発表の「薬事工業生産動態統計」で見ることができる.産業規模は拡大を続けており,現在の国内市場規模(国内出荷金額)は約2兆円といえる.世界のマーケットでいえば650億ドル超であり,その約1/6のシェアをわが国が占めている.
1990年以降の推移を見ると輸入品が急増している.国内生産や輸出にくらべて輸入が急増している理由は,最近の医療現場で,患者の体内に直接埋め込む心臓ペースメーカーや人工関節などのインプラント製品,高機能カテーテルの需要が増えているのに対して,そのほとんどが輸入品で占められているからである.
35・5・2 医療機器におけるレーザー加工応用事例
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