光は波動性と粒子性の両方の性質を持つが,フォトンカウンティングは光を光子と呼ばれる粒として取り扱う計測手法である.光子の数が光検出器の時間分解能を遥かに超えて多く到来している場合,光検出器から得られる出力は多数のパルスが集まったアナログ電流として信号が得られる.光量が少なくなくなり光検出器が光子を一つ一つ分離して検出することができると,出力信号をアナログ的に扱うよりもパルスとして数えるほうが信号対雑音比や安定性の点で有利な計測が可能となり,これをフォトンカウンティング計測と呼ぶ.
フォトンカウンティング計測は,ある一定時間内に計測されたカウント数が光量に比例することから光の強度がわかるほか,時間分解法と組み合わせることにより高速の信号波形を再現することができる.また,光検出器の出力部分を蛍光体にすればフォトンカウンティングの画像化も可能となる.
22・3・1 フォトンカウンティングの原理
光の強さを変えてフォトンカウンティング用光検出器で出力波形をオシロスコープなどで観察すると,光量が多い場合,光検出器の出力パルスの間隔は狭く,パルスどうしが重なり合ったアナログ波形となる.光の強度を弱くしていくと交流分(ゆらぎ)が増え,さらに光量を弱めるとパルスは一つ一つ独立した存在となる.図22・13にこの様子を示す.
パルスが離散的になった状態で,その出力を2値化し計数する方法がフォトンカウンティング計測である.フォトンカウンティング計測は微弱光領域において安定性,信号対雑音比などアナログ計測に比べて利点が大きい.ただし,フォトンカウンティング計測をおこなう際に,光検出器の動作条件や後続につなぐ計測系が適切に設定されていないと,十分な特性が得られないため注意が必要である.
22・3・2 光検出器
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