レーザービームは,その高い集光特性からさまざまな応用に利用されている.したがってその集光特性を知ることは,応用にあたって非常に重要である30)~38).利用されているレーザーは安定共振器構造を持つガスレーザーやロッド状の利得媒質を用いた固体レーザーから発振するビームばかりではなく,半導体レーザー,導波路から得られるビーム,固体レーザーにおいてもスラブや不安共振器から得られるビーム,さらに回折の影響を受けているビームとその特性は多岐にわたっている.これらに対して万能に特性を評価できる方法はなく,ここでは現在利用されている代表的な二つの評価法を紹介する.

ロッド状の媒質から得られる,光軸に対して中心対称性が良く,ガウスの関数で近似できるような,これまで一般的に利用されてきたレーザービームの評側には,M2パラメータという理想的なガウシアンビームとの違いを表すパラメータを用いる方法がトレンドとなっている.一方,スラブレーザーや導波路,半導体レーザーのような極端なビームパターンを持ったレーザーも実用上重要になってきており,その評価法としてStrehl強度を利用する方法が利用されている.しかし,評価法自体が現在でも重要な学問的な問題を含んでいる点を理解しておくことが重要であり,実際のビーム集光特性の評価に関して注意すべき点を述べる.

22・2・1 ガウシアンビームの伝搬とM2パラメータ

最も基本的かつ重要なビームとして,伝搬方向に垂直な断面内の光強度分布がガウス関数をとるガウシアンビームがある.等方的で屈折率の分布が一定な媒質中を伝搬するガウシアンビームの特性記述には,以下のパラメータが必要である.

(1) スポットサイズ(w),ビーム直径(d)

光強度がビームの中心軸上での値の1/e=0.368または,1/e2=0.135倍に減衰するビームの中心からの距離である.実用上は,後者の定義を用いることが多い.

(2) ウエストサイズ(w0),ビーム直径(d0)

最小のスポットサイズで,ビームウェスト位置でのビームの半径を示す.

(3) ビームの広がり角(θ)

ビームダイバージェンス,発散角ともいわれ,ビームのウェスト位置から十分離れた距離でのビームの角度広がりを表し,伝搬距離によるスポットサイズ変化曲線の漸近線がビーム中心軸となす角である.

このほかの重要なパラメータとしては,以下のものがあげられる.

(4) レイリー長(ZR)

スポットサイズが最小値の式22・494i倍となるような領域.

(5) 波面曲率半径(R)

ビームの波面すなわち等位相面の曲率半径であり,波面がビームの中心軸と交わる点の曲率半径を表す.

(6) ビームウェストの位置(z0)

スポットサイズはビームが伝搬するにつれて変化し,一般的にある位置で最小となる.波面の曲率半径が平面となる点と一致する.

ビームの伝搬方向をz軸にとった,回折の影響を受けていない理想的なガウシアンビームの伝搬を記述する式を示す.

式22・11

ここで,

式22・12

ただし,r=(x2+y2)1/2,E0はr=0,z=z0での電界,λは室内での光の波長,kは波数である.ここで,式(22・12)をもとにwを直径dに置き換えるとビームの伝搬軸上でのビーム直径は,

式22・17

として与えられる.ビームの光学系による像の変換でd0θの積が不変であり,理想的なガウシアンビームでは,

式22・18

であり,これは上述の式より容易に導き出せるものである.これに対して理想的なガウシアンビームとの違いとして,ビーム品質を与える量として,

式22・19

が導入されつつある.実際のイメージを理解するために,TEM00モードとM2>1であるビームの伝搬のイメージを図22・11に示す.

図22・11

このM2を計測するためには,実際の計測量である強度をもとにM2の表記をおこなう必要がある.具体的には,ビームの広がり角とスポットサイズを求める必要があり,光強度分布関数Iとスペクトル強度分布関数Jを用いて,これらの値を表記する.

式22・21

ここで,E(x,y,z)とF(ux,uy)の関係を以下に示す.

式22・23

次に,それぞれの関数の分散を定義すると,

式22・24

yについても同様であるので省略する.分散を使ってM2を表現すると,

式22・26

を得る.ここで,リアルビームに対するビーム半径W,直径D,発散角Θをパラメータとした.M2およびビーム径は強度分布とスペクトル強度分布から計算されることを表している.詳細な数学的記述や議論は参照文献32)として掲げる.

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