固体レーザーとは,固体の動作媒質を光励起することにより,レーザー光を発生あるいは増幅させる装置を指すもので,一般には電流注入励起による半導体レーザーは除外する.構成としては大きく,励起光源,レーザー固体媒質,光共振器の3部分よりなる.従来は,励起光源としてランプ(放電管)が用いられていたが,大型で大電力を消費し寿命も短いため研究室から持ち出せなかったばかりでなく,空間的・スペクトル的なビーム品質が劣悪であったため応用面でも制約を受けていた.近年になり,半導体レーザー(diodelaser:LD)の高出力化・高輝度化が進んだため,これを励起源として利用する全固体レーザー(all solid-state laser)の研究開発が活発化してきた1)~6)

LD励起方式は,放電管励起方式とくらべて小型,長寿命,低電力動作が可能であることに加え,狭いスペクトル幅の励起光を空間的に集中させた高密度励起が可能である特長を有する.すなわち,レーザー媒質の吸収係数が高い波長波において,レーザー発振する空間領域のみを選択的に励起できる.このため,高出力化の際に問題となった発熱も抑制され,冷却機構が簡単になり,小型・高効率化,高安定動作が可能となった.固体レーザー媒質は,活性イオンの数密度が1024~1026 m-3,レーザー上準位の寿命が数百μs~数msと,気体レーザーのそれとくらべてそれぞれ約3桁大きい.したがって,レーザー媒質中に反転分布として蓄えうるエネルギー密度が大きく,かつ蓄積時間が長いので,固体レーザーは高出力パルス動作が可能である.Qスイッチ,モード同期などの方法により,パルス幅が数百ns~数fsの短パルス光を得ることができる.媒質の形状もロッドやスラブだけでなく,ファイバマイクロチップ簿ディスクなど多様な全固体レーザー構成が提案され,性能向上も著しい.詳細は次節以降に譲るとし,ここでは全固体レーザーの概要を解説したい.

15・1・1 半導体レーザー励起国体レーザーの特長

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