本節では半導体レーザーの利用向上のための付加技術について説明する.外部光帰還による単一モード化,加えて波長選択された光を帰還することによる波長ロック,波長可変などの波長制御技術を取り上げる.また,半導体レーザーのような低出力レーザー向けの波長変換技術,さらには利得スイッチすることによる簡便な短パルス発生技術を紹介する.半導体レーザー単体では実現困難な性能,機能がこのような技術により簡便に実現される.

13・7・1 半導体レーザーの波長制御技術

ファブリ・ぺロー形半導体レーザーは温度,戻り光の変化により発振波長が変化する.これを防ぐためには光帰還による半導体レーザーの波長ロックが効果的である.ミラーで外部光を帰還することでモードを選択し単一モード化できる.これに波長選択性を持たせた光を帰還することで半導体レーザーの発振波長を制御することができる.

図13・43に波長と利得カーブ,損失の関係を示す.損失が波長選択され,利得カーブとの関係で発振波長λ1が選択される.13・2節で紹介されているように,集積されたものとして,DFB(distributed feed back)およびDBR(distributed Bragg reflector)半導体レーザーがあるが,本項では外部からの光帰還による波長制御技術について概説する.

図13・43

[1] グレーティングによる波長制御技術

外部グレーティングを用いた光帰還は最も広く用いられている方法である139).図13・44(a)に示すように,反射形グレーティングの1次回折光を半導体レーザーに光帰還することで安定化を図ることができ,さらにグレーティングの角度を変えることで半導体レーザーの発振波長を可変できる140).グレーテイングの周期をΛ,光軸に対する角度をθとすると,λ=2Λsinθで発振波長λが決まる.

図13・44

図13・45に角度と波長の関係を示す.グレーティングは2400本/mmである.縦モードは,サイドモードサプレッションを30 dB以上にすることもでき,また波長変化幅数十nmの広い範囲で単一モード発振が可能である.

図13・45

[2] 狭帯域波長フィルタを用いた波長制御

ミラーを用いた共焦点光学系の平行部分に狭帯域波長フィルタを挿入することでも波長安定化および波長可変が可能である141).単一モード化を図るため狭帯域波長フィルタは波長半値幅が0.2 nm程度のものも実現され使用されている.SiO2とTiO2の多層コーティングにより作製でき,イオンアシスト法を用いることで膜厚制御性が高められ,超狭幅化だけでなく温度安定性も向上している.

図13・44(b)に示すように,狭帯域波長フィルタは平行光路に挿入すればよく,また共焦点光学系が位置ずれに対して強いことから機器への組込みが容易な方法である140).狭帯域波長フィルタの角度を変えることで発振波長を変えることができる.

[3] 外部ブラッグ反射器を持つ導波路を用いた波長制御

光導波路や光ファイバにグレーティングを形成し外部ブラッグ反射器(DBR)として波長安定化に用いる方法がある142).図13・44(c)に示すように,導波モードの実行屈折率N,グレーテインクの周期Λ,次数mとすると,mλ=2NΛという関係になる.mは通常1,3,5などの奇数であるが,グレーティングのON/OFFを非対称にすることで2,4次などの偶数次が使用できる.光ファイバ(N=1.45)に2光束干渉露光を行い143),グレーテイング周期0.54 μmを形成したファイバブラッググレーティング(FBG)にて1.56 μmの波長ロックを行っている.長さ数cmで100%の反射戻り光が得られる.またLiNbO3導波路上にSiO2グレーティング(2次)を形成し,0.86 μmの波長ロックを行っている140)

外部DBRは作製されたデバイスの波長可変がむずかしい,もしくは波長可変幅が小さいが,その反面,安定である.

13・7・2 半導体レーザーの波長変換技術

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