レーザー発振する物質が気体原子や分子,ガス状の金属の蒸気,あるいはそれらのイオンなどである場合を気休レーザーの範疇とし,本節でまとめて述べる.これまでに発振が報告されている気休レーザーは非常に多く,その波長も真空紫外線から遠赤外線に及んでおり,同じ物質でも異なった波長で発振する場合も少なくない.気体レーザーはほかの固体レーザーや液体レーザーとは異なり,媒質となる物質の密度が相対的に低い.また,励起方法も媒質を直接放電などで励起状態に上げられるため,ほかのレーザーで用いられる光励起よりも放電や電子ビーム励起などが一般的に用いられている.媒質がガス状であるという特徴から,ガスを直接流すことにより媒質の冷却や交換をおこなうことが可能であること,および媒質そのものはたとえレーザー損傷を受けてもすぐに回復して元に戻るなどの特徴を有している.最近はガスレーザーの新しい展開が少なくなり,半導体レーザー励起の固体レーザーの高調波にとって代わられる用途も多くなっているが,固体レーザーでは達成できない短波長での高出力動作や,極短波長および遠赤外線領域での発振などではまだ重要な地位を占めている.特に短波長領域では固体レーザーの及ばない波長での発振が得られることと,固体レーザーの波長変換に対して相対的に簡単な装置で高い出力が得られるために,今後も主要なレーザーとして使用されると予想される.

しかし,これまでのガスレーザー研究では,たとえば励起放電の生成機構やガス寿命などで解明されていない点も多く残っており,未解明の動作機構を含んだまま実用化に持ち込まれたといえる.これらの未解明の問題を解明することにより抜本的な改善が期待できると實野は考えており,今後の展開によっては新しいジャンルや用途が拓かれる可能性があると推察される.

12・6・1 レーザー材料

上に述べた中性原子・分子,イオン,蒸気でこれまでに発振することが報告されている物質を図12・71の周期律表に示す.図中に中性原子・分子で発振するものをn,イオン状態をi,蒸気状態をvで示している331).初版のレーザーハンドブック332)以降に新たに発振が報告された物質は7元素である.この表の作成にあたっては,これまでに発振が報告されていた物質の新しい発振線は調査していない.発振波長の詳細は文献331)333)を参照してほしい.

図12・71

また,気体レーザーにとって重要なドップラー広がりやホールバーニング,ラムディップなどの基本的事項については初版のレーザーハンドブック332)に詳細の説明があるので,そちらを参照されたい.

12・6・2 励起方法

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