赤外ファイバ(IR-transmitting fiber)とは

石英系光ファイバの透過限界(約2 μm)より長波長の赤外光を透過する光ファイバを一般に赤外ファイバという.赤外の透過限界は物質を制成する分子の格子振動(フォノン)吸収によって規定されるので,赤外ファイバの材料には通常,石英を構成するンリコン,酸素よリ質量の大きい元素からなり,かつ結合の弱い構造のハロゲン(F,Cl,Br,I)化物,カルコゲン(S,Se,Te)化物や重金属酸化物が用いられる.このため,赤外ファイバのほとんどは,石英系ファイバとくらべて材料の強度,耐熱性,耐環境性などにおいて本質的に劣り,また,ファイバの伝送損失もまだ高く性能的に十分ではないが,塩臭化銀多結晶,サファイア(Al2O3)単結晶,フッ化物ガラス,カルコゲナイドガラスの各種赤外ファイバと特殊構造のファイバが実用化され,赤外レーザーパワー伝送,赤外線イメージ伝送,リモート赤外分光分析,放射温度計測などに使用されている.