モード周期(mode-locking)とは

レーザーから直接,短い光パルス列を取り出す方法.一般のレーザーでは,共振器の縦モード間隔がレーザー媒質の持つ利得の帯域幅より狭く,また,この帯域幅の広がりの原因がレーザー媒質的共鳴周波数の分布による(不均一広がり)場合が多い.その結果,レーザー媒質の利得は各共振器縦モードに対して個別に飽和するので,多くの縦モードが同時に発振する.モード同期という呼び方は,このような多くの縦モードのおのおのの位相項を一定値にそろえ(位相ロック)れば,フーリエ合成の原理によって,縦モード間隔周波数の逆数に等しい繰返し周期でパルス列が生成されることかりきている.レーザーに外部から縦モード間隔周波数で変調をかけるか(能動モード同期)内部に非線形な吸収係数または屈折率を導入して受動振幅変調を起こさせ(受動モード同期)ると,各商品モードは発生したサイドバンドを通して結合し,位相項がロックされる.得られるパルス幅は,モード同期に参加する縦モード群のスペクトル幅の逆数となるので,短パルスを得るためには,このスベクトル幅を大きくとる必要があるこのスペクトル幅を利得帯域幅以内に制限しているものは,共振器に残留する群遅延分散で,これを低減することが極短パルスを得る決め手となる.チタンサファイアレーザー(帯域幅~200 THz)で,サファイアロッドの非線形屈折率による受動振幅変調(カーレンズモード同期という)によって,利得帯域幅の逆数にほぼ等しいフェムト秒台のパルスが得られている.