花芽形成は,昼と夜の長さに影響を受けることが知られている.植物の品種によってかなり差はあるが,短日植物は,1日の日照時間がある限度(限界日長)より短いと花をつけるが,それより長くなると花をつけなくなったり,開花の時期が遅れたりする.ダリアやホウセンカなど,多くの秋咲きの植物に多い傾向がある.長日植物は,逆に1日の日照時間がある限度より長い場合に花をつける植物で,ナデシコやスィートピーなど,夏に花を咲かせる植物が多い.中性植物は,光の周期とは無関係に花をつける植物でバラなどである.これらの植物は,日長の長さで定義されているが,実際には暗期の長さによって起こる現象である.

花芽形成を制御する時期は連続していなければならない.たとえば,長い暗期の中央に短時間の光照射をすると短日植物の花芽形成を阻害し,長日植物の花芽形成を誘導する現象が起こる.この光による暗期の効果の打ち消しを光中断と呼ぶ.光中断に最も効果的な光は赤色光であり,赤色光の効果は直後に照射した遠赤色光で打ち消されることから,フィトクロームが関与しているといわれている14).フィトクロームは,赤色光吸収型(Pr)と遠赤色光吸収型(Pfr)の二つの型を持っている.明期では,Pfrが合成され,時期中にPrへ暗反転(PfrがゆっくりとPrに戻ること)する.つまり,Pfr量が一定値にまで減少することで,短日植物の花芽が誘導する.光中断で,暗期の中央に赤色光が与えられると,PrからPfrの光変換が起こり,Pfr量がもとの値に戻ることから短日植物の花芽分化を阻害する.このように植物は,フィトクロームで暗期の長さを測定しているのである.LEDやLD光源を使用すれば,すでに知られている植物生理現象を利用して開花の制御をすることが可能になる.

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