35・4・1 総説

(1) 電気・電子・情報産業とレーザー加工種々のレーザー加工

家庭やオフィス,モバイルなどのあらゆる場面において,パソコン,携帯電話,デジタルカメラ,カーナヒゲーション,大画面液晶テレビ,ブロードバンドインターネット,電子ゲームなど各種の電子機器・情報サービスの利用が近年著しく発達している.エレクトロニクス技術を駆使したこれら各種の電子機器・情報サービスが,人びとの生活をより快適に,かつ安全にするのにおおいに役立っている.このような各種の電子機器や情報サービスの実現には,モバイル・ブロードバンドアクセス用の高機能・低消費電力のCPUやシステムLSI,薄型軽量・高精細な液晶パネル,各種の薄膜電子回路部品,高密度実装基板,磁気ディスクやプリンタなどの周辺装置部品,各種光モジュールや光ファイバ増幅器,さらには高エネルギー密度のリチウムイオン二次電池などがキーコンポーネントとして必要である.これらのキーコンポーネントの製造には,より高速・高精度な加工や,より高機能・高信頼度な加工が絶えず求められている.レーザー加工は,電気・電子・情報分野において,部品の高精度・高信頼性を確保する有力な技術として早くから注目され,またオンラインの生産自動化にも適していて生産性が高いので,これらのキーコンポーネントの製造上不可欠な技術として高度化し発展している45)

今日では,材料の改質や素子形成,実装,素子調整など,キーコンポーネントの製造におけるさまざまな場面において,レーザー加工がきわめて重要な役割を担っている.表35・5に,電気・電子・情報産業におけるレーザーによる各種電子部品加工の代表的な適用事例を列挙する.

表35・5

(2) 電気・電子・情報産業におけるレーザー加工の特徴

電気・電子・情報分野で用いられる各種の構成部品は,その構造や機能,材料などが多種多様であり,これに伴い,波長やパルス幅,レーザー出力などが異なる種々のレーザー加工機が用いられている.また,その工法も,切断,穴あけ,抵抗トリミング,スクライビングなどの精密除去加工や,溶接,ろう付け,はんだ付けなどのマイクロ接合加工,レーザーリソグラフィー(露光)のほか,レーザーCVDによる金属膜の局所堆積などの付加加工や,ポリシリコンのレーザーアニーリングによる改質,光ファイバや光平面回路などの屈折率の調整,あるいは,パルスレーザー照射による塑性変形を利用したリードリレーや磁気ヘッドなどの精密位置調整など,実にさまざまであり,それぞれの加工目的に適した専用加工装置が種々開発されている.

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