光情報処理用半導体レーザーは現在赤色~赤外域のものが主として使用されている.応用は光ディスクが大半を占めるが,このほかにレーザープリンタ,バーコードリーダにも使用されている.

以下,光ティスク用レーザーに特化して話しを進める.

1982年にCD(compact disc)が商品化されて以来,光ティスク(optical disc)はオーディオやデータ記録の分野で大きな発展と成長を遂げてきた.その中で半導体レーザーは光ディスク装置における再生・記録の光源として中心的役割を果たしている.表13・4に現在実用化されている光ディスクと半導体レーザーの種類を示す.

表13・4

以下,光ディスク用半導体レーサーに求められる諸特性について述べる.

[1] 発振波長

ディスク上に集光されるレーザー光スポットの直径Dは,λ/NAで表される49).ここで,λはレーザーの発振波長[μm],NAはレンズの閉口数(numerical aperture)である.光ディスクの記録密度はDの2乗に反比例するので,半導体レーザーの発振波長を短くするほど,高密度化を実現することができることになる.当初,CD(記録容量650 Mbyte)では波長780 nm帯のAIGaAs系近赤外半導体レーザーが用いられたが,記録容量4.7 GbyteのDVD(digital versatile disc)では650 nm帯のAlGaInP系赤色レーザーが用いられている.さらに高密度のBlu-ray disc(記録容量23~27 Gbyte/片面当り)では,波長400 nm帯のInGaN系青紫半導体レーザーが用いられようとしている.

DVD以降の光ディスク装置においては,前世代のCD系光ディスクとの互換性を確保するために,780 nm帯の半導体レーザーと650 nm帯の半導体レーザーの両方が一つの光ピックアップの中に搭載されるのが普通である.これは,CD系光ディスクのうち有機色素を記録層に用いたCD-R系光ティスクの読出しに780 nmの光源が必須であるためである.このため,光ピックアップの構成が複雑になり高価となるため,一つの半導体レーザーパッケージから780 nmと650 nmの両方を出射することができる2波長レーザー(dual wavelength laser diode)も近年開発され実用化されるに至っている50)~53)

図13・23に,代表的な2波長レーザーの構造を示す.2波長レーザーを用いて光学系を780 nm帯と650 nm帯に対して共通とすることで,光ピックアップの部品点数を大幅に減らすことができるため,製造コストが低減できるメリットがある.

図13・23

[2] 単一横モード特性

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