【John Alcock の誘導ブリルアン散乱実験】
 筆者が卒業研究を始めた 1968 年、はじめて英文論文を読むようになったとき、図書館でコピーして自分で論文を読んで、研究とは何かを勉強させられた論文です。カナダの NRC National Reserch Council の研究者であった John Alcock を知り、研究はこのように綿密な実験的証明をするものだと勉強しました。ちょうど前年の 1967 年に Applied Physics Letters に掲載された論文で、当時、最も簡単に数 10MW のピークパワーを発振できる過飽和吸収体による Q スイッチ(クリプトシアニン Q スイッチ色素)を使っていました。クリプトシアニンは 6943Å のルビーレーザー光に対して大きな吸収係数をもちレーザー光を吸収すると基底状態の色素分子が枯渇するので、self bleaching、自己透明化をすることで共振器内損失を急激に減少させます。その結果、レーザー共振器内に蓄積されたエネルギーを短時間で出力させる受動的 Q スイッチです。能動的 Q スイッチとしては回転ミラー程度で、まだ電気光学的スイッチが開発される以前には、Q スイッチ発振で数 100MW のピーク出力を発生させる素晴らしい技術でした。過飽和色素のスイッチング速度は回転プリズムなどに比べてはるかに高速で、この技術はその後のモードロック技術に発展しました。

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