【50年後の事情説明】

Maiman論文のルビーレーザー成功をめぐってはBell研究所との間で一悶着がありました。Maiman論文がPRLから却下されたこと、NYタイムズでの発表とその後の論文の間で写真が異なったことなどです。PRL自身がBell研が作ったような論文誌だったこともあり、恣意的に論文却下をしたのではないかと疑われ、その後も論争の的となりました。実際、2010年にレーザー50年を記念してBell研は事情説明する論文をPhysics Todayに発表して、自分たちは不正を働いたりはしなかったと説明をしました。客観的に見ると、MaimanのNature論文はBell研のPRL論文に比べると、詳細なデータに欠け、Bell研論文が追試をしてくれたから、確かな学術成果と認められるようになったともいえます。これらの経過を見ると、物理論文としての明確な証拠を要求した PRL には正当性があるし、Nature はマガジンとして、これは重要な結果だと判断すれば、厳密性より歴史的重要性を重視したといえます。今日も問題とされる学術誌とは何か、という評価につながるところです。

その弁明論文に掲載された写真を右に示します。記者会見の写真を見ると,レーザーの初期の有名人が勢揃いしています。Walter Bond, Wolfgang Kaiser, Donald Nelson, Willard Boyle, Robert Collins, George Dacey, Charles Townes, Arthur Schawlow, and Geoffrey Garrett などです。私が学生時代、Nelson, Collins, Garret などは初期のレーザー研究者として有名でしたし、もちろん、Schawlow, Townesは神様みたいなものでした。ちなみに、Willard Boyle はCCDの発明で、2009年にノーベル賞を受賞しています。まさに多士済々のレーザー開発チームであると同時に、レーザーの開発のように大きな飛躍に立ち会うことが研究者を成長させるためには一番だということを意味しています。

無料ユーザー登録

続きを読むにはユーザー登録が必要です。
登録することで3000以上ある記事全てを無料でご覧頂けます。
ログインパスワードをメールにてお送りします。 間違ったメールアドレスで登録された場合は、改めてご登録していただくかお問い合わせフォームよりお問い合わせください。

既存ユーザのログイン
   
新規ユーザー登録
*必須項目