【改めてレーザー損傷研究を振り返る】
  改めて筆者自身のレーザー損傷研究を振り返ると、1980年代に行なったKrFレーザー用誘電体多層膜開発は大きな進歩を遂げ、米国に大きく後れを取っていた損傷強度はフッ化物ペア光学薄膜とアニーリング効果の発見で米国の2.5倍の高耐力となった。この原動力をなったのは、光音響法による薄膜吸収と損傷強度の精密測定法の開発であった。ただし、レーザー損傷の前躯現象の研究は、光音響信号にヒステリシスや線形からの逸脱が観測されたが、それ以上の深い探求はされなかった。日米セミナーで光学薄膜の吸収係数と損傷強度の相関関係から、酸化物とフッ化物でグループとしての画然とした差が発見され、それには電子付着係数の大きなフッ素原子の性質が関係しているだろうという漠然とした予想があった。この相関関係の発見を激賞してくれたAuthor Guentherの激励を受けて、帰国後、昭和光機と相談してフッ化物ペア薄膜で高耐力ミラーの開発に着手した。

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