【はじめに】
レーザー光学系、中でも誘電体多層膜の開発と進歩を通じて光学薄膜の物理と技術を議論してきた。物理と技術を理解するのに最も重要なことは、その機構を解明することであり、そのためには何が起こっているかを計測することが鍵となる。前回の講義では光学薄膜そのものの吸収係数を測定するために開発した光音響計測とそれから明らかとなった高耐力光学薄膜の方向性について紹介した。248nmという短波長紫外線レーザーの分野では、膜膜の吸収そのものが重要な要素だったからだ。それによって、バンドギャップの大きな光学材料、フッ化物ペアで構成した光学薄膜は、酸化物誘電体の薄膜に比べてはるかに大きな損傷耐力を実現し、結果として米国が開発したKrFレーザー用ミラーの3倍以上強いものとなったことを報告した。
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