【スピンコーターを利用する超高品質ミラー洗浄】
重力波検出用にはPPM損失の超高品質ミラーが不可欠です。1990年、重点領域研究の準備である重力波検出の総合研究に超高安定化レーザーの開発計画の代表者として参加して、すぐに10-21Hz/Hz2/1という量子限界安定度を達成するには、1kWの縦横単一モード出力と数10万以上のフィネスを持った参照共振器が必要なことを理解しました。そのために不可欠なものは 99.999%以上の反射率を持った超高性能ミラーです。このようなミラーは米国ではジャイロ品質ミラーと呼ばれ、誘導ミサイルの心臓部を形成する最高の軍 事機密で、日本には存在しませんでした。しかし、重力波アンテナを日本に建設するには、そのような超高品質ミラーを日本で国産化する必要があり、米国国防省に登録されておらず、なおかつそのような技術を持つ会社を探しました。さいわいクリーンルームのクリー ン度を計測するために緑色のHe-Neレーザーを使っていたPMS Particle Measurement Systemsの協力を得て、PPM 損失ミラーの共同研究を行ないました。利得の低い緑色のHe-Neレーザーを発振させているくらいですから、より波長の長い1μm用のミラー開発はうまくいきました。ただし、可視公用の薄膜に用いていたTiO2はTa2O3に変更してもらいました。波長が長い分、可視光の吸収特性より、膜の堅さ、安定性を優先したのでした。
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