マイクロチップレーザー(microchip laser)とは

一般に,レーザー媒質長が1 mm以下の固体レーザーを「マイクロチップレーザー(microchip laser)」と呼ぶ.半導体同様にウェーハ加工が可能なので量産化に適しており,体積としても数mm3と,励起用の半導体レーザーとほぼ同じ寸法であり,半導体レーザーを収めるパッケージに梱包することが可能となる.違いは,縦モードを単一化するエタロンそのものがレーザー共振器であるため単一周波数発振や,モードホップフリーの広帯域波長可変動作が容易におこなえることにある.また,特殊な曲率加工を施さなくても励起に付随した熱レンズ効果で安定共振器が形成されるため,TEM00の基本横モードが得られやすい特長も有する.さらに最近では,非線形光学結晶やQスイッチ素子を貼り合わせることにより半導体レーザー単体では不可能だった多機能化も図られている.すなわち,マイクロチップレーザーは半導体レーザーの空間的・スペクトル的特性を改善するコヒーレンスコンバータであり,さらには時間的特性や発振波長域を拡大できる特殊光学系と位置づけられる.→直接化合物LNPレーザー