正弦関数・余弦関数を用いて調和波動を記述したが、本ページでは、複素指数関数で調和波動を記述することを考える。複素数 z = x + iyは、実部・虚部を座標とする複素平面上で表現できる(図2.15 (a))。極座標(r,θ)を使用することもある(図2.15 (b))。zとその複素共役数 z* は実軸に対称となる(図2.15 (c))。偏角θが時間とともに一定速度で変化するときは、回転する矢印で表現できる(図2.15 (d))。

 

2.15
図 複素平面上での複素数 z = x+iy の表現。
(a) xyを使用 (b)rθを使用 (c) 複素共役数 z*  (d) 偏角が一定角速度ωで変化する場合

 

オイラーの公式eiθ=cosθ+sinθを利用する。複素指数関数の実部で調和波動関数を表すことにすると、波動関数y(x, t)は、

2.36
と書くことが出来る。上式は実部表示Re[]を省略し、単に

2.37

と記述することもある。なお、この式は

2.36-2

と等価である。正弦関数・余弦関数は微分演算によって関数形状が変化するのに対して、指数関数は変化しない。このため微分方程式を代数的に解くことができ、数学的扱いが容易となる。微分波動方程式は線形であることから、複素解の実部が求める波動関数となる。

参考文献

E. Hecht 著、尾崎義治・朝倉利光 訳「ヘクト 光学 I 」第9版 丸善(2013)