Sm3+:の基底多重項は6H5/2であり、6重に縮退している。これがYAGのイットリウムのサイトを占めた際の結晶場分裂を、式(1)に表の値を代入し行列の固有値を求めることにより示すことができる。つまり基底多重項のエネルギー準位が計算できる。
… (1)
実際に表の値を用い計算した結果を、一番エネルギーが低い準位を0とし波数単位で表したものを表1のEcal1に示す。
3つの各レベルはそれぞれクラマース縮重と呼ばれる2重の縮退がありこれは4f電子が奇数個あるためで、磁界を印加しない限り解けることはない。観測結果Eobも合わせて記載しているが、計算値と大きな隔たりがあるのがわかる。これはSmにおいてJ-mixingが強く分裂幅が狭いことが原因で異なるJの影響を受けることと、周囲のイオンの電荷を点電荷と仮定して結晶場パラメーターを計算しているためである。これが実験結果を良く再現することはほとんど無い[1]。
上記のように計算結果と実験結果がそぐわない事は他のランタニドイオンでも良く起こる。このような場合に通常用いられる手段が、結晶場パラメーターを調節し観測結果と一致させることである。その際、式(2)を、結晶場パラメーターにモーメントを含めることで
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