MOPA(Master Oscillator Power Amplifier)システムの性能は、発振器の出力パルスのビーム発散角、スペクトル幅、パルス幅等のパラメータに依存している。また、出力パルスエネルギーやパルスピークパワーは発振器の後段に配置された前置増幅器やブースター増幅器(主増幅器)によって決定される。後段に配置される主増幅器系を設計する際に考慮すべき点として以下のような事が挙げられる。①利得とエネルギー抽出効率、②増幅器で発生する波面歪みとパルス時間波形歪み、③増幅器システム中の光学素子におけるエネルギー・パワー密度、④レーザー損傷の原因となる前置増幅器や発振器へのレーザー光フィードバックの抑制、以上4点である。
ここでは、ある程度の反転分布を形成している増幅器の利得特性の解析を入射パルス強度とパルス幅に対して行う。

増幅器中における仮定として、入射エネルギーの増幅が伝搬距離に対して指数関数であると想定する。しかしながら、この指数関数的増幅過程は光子密度が低い領域でのみ起こる現象で、反転分布媒質を伝搬しているパルス強度がレーザー上準位の分布が相当数変化するのに十分な強度に達すれば、増幅器中の増幅は指数的増幅から逸脱する。入射レーザーによる反転分布の減少の結果、増幅の利得飽和効果が起こるからである。レーザーロッドに高強度のパルスが入射すると、極度の飽和状態となり、誘導放出によって増幅器内の蓄積エネルギーはほぼ完全に抽出される。このような飽和領域では、利得はロッド長に対して指数的によりもむしろ加算的に増加する。
Qスイッチパルスやモードロックパルスのようなパルス幅に対する増幅では、自然放出や反転分布での励起レートは無視できる。これは、パルス幅がレーザー媒質の蛍光寿命よりも短い状況である。実際にNd:YAGのQスイッチ増幅ではNdイオンの蛍光寿命約230μsecに対し、Qスイッチパルス幅は約15nsecである。

パルス増幅では、増幅過程が励起レートWpと自然放出時間(蛍光寿命 τf)に比較して非常に速いと想定した状況となる。従って、増幅器を通過するパルス幅をtpとすると、tp ≪ τf, Wp-1という条件となる。故に、増幅過程は入射パルスが到達する前に、レーザー上準位に蓄積されているエネルギーに依存している。入射パルスが増幅器を通過すると、原子は誘導放出により蓄積したエネルギーを排出する。従って、増幅過程はレート方程式によって記述することができるので、もし、パルス幅の時間内における励起や蛍光の影響を無視すれば、反転分布は次式のように書くことができる。

eq3-1(式1)

反転分布状態の媒質を通過するパルスの増幅は、非線形時間依存の光子伝送方程式によって記述されるが、レーザー媒質の放射影響を考慮した。ここで、nは反転分布密度[Ions/cm3]、cは光速[cm/sec]、σは誘導放出断面積[cm2]、 φは光子密度[Photons/cm3]、 γは3準位系及び4準位系をまとめる際の定数で、4準位系ではγ=1である。また、光子密度についてのレート方程式はレーザーの伝搬方向をz方向とすると次式のようになる。

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