Nd の 3 価のイオン Nd3+ を YAG にドープした Nd:YAG レーザーは、高出力固体レーザーとして最も普及しているレーザーである。これは、Nd3+ が 4 準位系のエネルギー準位構造を持ち、YAG 結晶の熱伝導率が他のレーザー材料に比べ非常に優れているからである。
Nd:YAGレーザーの励起波長は 808nm、発振波長は 1064nm である。複数のロッド型媒質を共振器の軸方向に並べることにより、~10kW 級の CW 発振が可能である。実際に数社から鋼鉄やアルミの溶接用に数 kW の Nd:YAG レーザーが製品化されてきたが、一般的な Nd:YAG レーザーの出力は~数 100W 程度である。Nd:YAG パルスレーザーの一般的な繰返し周波数は数 Hz から数 kHz 程度であり、Q スイッチ動作によってパルス幅 10ns~50ns 程度での高出力パルス (~数百 mJ) が発生されている。また、非線形光学結晶を用いて発生させる第 2 高調波 (532 nm)、第 3 高調波 (355nm)、第 4 高調波 (266nm) も多く用いられている。Nd:YAG 以外の Nd 系の DPSS レーザーには Nd:YLF (LiYF4)、Nd : YVO4、Nd:glass などがある。
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