固体表面とこれに触れる液体との間に温度差があるとき、両者の間に生ずる熱移動を熱伝達という。熱伝達に際して流体が気・液相変化を伴う場合とそうでない場合とがあり、後者を対流熱伝達と呼ぶ。対流熱伝達では、流体内の熱伝導と流体の流動によるエンタルピー輸送とが関連した形で熱移動が起こる。流体の流れが送風機などで強制的に起こされている場合を強制対流熱伝達といい、液体内の温度の不均一に基づく密度差によって流動が誘起されている場合を自然対流或いは自由対流熱伝達という。また、両者が同時に起こっている場合を共存対流熱伝達という。
熱伝達の生じている固体の表面積をF [cm2]、単位時間にFを通じて伝えられる全熱量から熱放射による分を差引いたものをPa [W]とするとき、固体表面と流体の代表温度をそれぞれ 、TS、TC [K]として、熱伝達率(熱伝達係数)havは次のように定義される。
(式1)
通常、物体の表面温度や流体の温度は必ずしも一様ではないので、TSやTCとしてどのような値を用いるかはそのつど明示する必要がある。物体表面の微小面積をΔF、このΔFを通じて単位時間に伝えられる熱量をΔPa、従って、その部分での熱流束をq = ΔPa/ΔF [W/m2]とし、この微小部分の表面温度と流体の温度との差をΔTとするとき、式2のように定義されたhを局所熱伝達係数という。これに対し、式1で定義されたものを平均熱伝達係数と呼ぶ。
(式2)
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