概略
炭酸ガス(CO2) レーザーの媒質はヘリウム、窒素を混合した炭酸ガスであり、放電により励起される[1]。混合ガス中の窒素は、CO2 にエネルギーを移行して励起準位にする役割、CO2からエネルギーを奪うことでCO2をレーザー下準位からさらに下の準位に移動させる役割、放電によって発した熱を除去する役割を担っている。CO2レーザーは産業界に最も普及しているレーザーであり、金属、非金属の切断、穴あけ、溶接、表面改質などに応用されている。
加工用のレーザーとしては数kW~20kW[2]のレーザー装置が稼働しており、200W 程度の出力までは封じ切りで動作するRF 励起方式が広く採用されている。CO2レーザーは炭酸ガス分子の振動順位間で発振し、10.6μm および9.6μmを中心とした遠赤外の波長(9.2~10.8μm) を持っている。10μm 付近の波長は、水やガラスといった可視域で透明な材料に対しても非常に大きな吸収係数を持っており、紙、木材など金属以外の加工にも盛んに用いられている。また歯科用や美容用(ほくろなどの除去) の医療用レーザーとしても用いられている。
特徴
- 波長:9.6μm、10.6μm (9.2~10.8μm)
- 発振形態:パルス、CW
- 平均出力:~数十kW(20kw@Trumpf)
- パルスエネルギー:100J
- 励起方法:放電
- 応用:加工(切断、溶接など)、医療(レーザーメス)
励起原理
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