デジタル情報を扱う光ディスクメモリは77)78),1981年,直径120 mmの音楽用CD(CD-DA:compact disc-digital audio)とファイリングシステム用の直径12インチWO(write once)からスタートした.CD系は,データ用としてCD-ROM,CD-R(recordable),CD-RW(rewritable)が開発されたが79),いまやコンピュータシステムには欠かせない存在となった.WO系は,データ記憶用として小径の130mm WO,130 mm MO(magneto-optical),90 mm MOへと展開した80)

一方,画像圧縮技術と光ディスクの高密度化技術の進展で,デジタルビデオディスクへの期待が高まった.この期待に応えて,1996年,CDと同じサイズで,映画1本(130分)を記録・再生できるDVD(digital versatile disc:デジタル多用途ディスク)が登場した(1996年)81)82)83).このDVDには,デジタルコンテンツの保護技術(CSS:content scramble system)が導入されており84)85),コンテンツ保護のある記録デバイスへのさきがけとなった.

ここでは主流の光ディスクとして,その時代を歩んできたCD/MO/DVD光ディスクについて,基本仕様,フォーマットの概要,システム構成などを述べ,さらに光ディスクで重要となったデジタルコンテンツの保護技術や次世代光ディスクの動向についても簡単に紹介する.

30・4・1 各種光ディスクと記録・再生システム

[1] 光ディスクのいろいろ

表30・2に,いままでに開発された主要な光ディスクを示す.光ディスクは,大きく分けて再生専用形(ROM),追記形(WO,R),書換形(RW,RAM)があり,それぞれの特徴を生かしたアプリケーションが存在する.CD-ROMは,コンピュータソフトの配布や電子出版などとして多用され,一方,DVD-ROMは,主にDVD-Videoとして,映画など映像コンテンツの配布に使われている.

表30・2

追記形は,一度だけしか記録できないメディアで,データが改ざんできないという特徴がある.金属膜や相変化膜を用いたWORM(write once read many)と呼ばれる無機系タイプが,業務用に用いられてきた.一方,CD系やDVD系では,有機色素を用いるR(recordable)タイプが,ROMと同じ高い反射率が得られ,安価な互換メディアとして幅広く使われるようになった.

書換け型には,光磁気方式(MO)と相変化方式(PC:phase change)があり,現在では,CD系やDVD系で使われる相変化方式(RW,RAM)が主流となっている.

光磁気方式は,磁気光学効果を用いてデータの記録・再生を行う方式で,光変調方式の130 mm MOや90 mm MOと磁界変調方式を用いた音楽用MD(mini disc)86)やデータMD87)がある.

相変化方式は,結晶とアモルファスの相変化を利用してデータの記録・再生する方式である.CD-RW,DVD-RW,DVD-RAM,+RW(DVD+RWとも呼ばれる)などがあり,HDD(hard disc drive)のバックアップや保存メモリ,さらにはVTRに代わってテレビ映像などの録画用途に使われはじめた.

[2] 光ディスクの記録・再生システム

図30・25にコンピュータなどで用いられる光ディスクドライブのブロック構成を示す.再生専用型は,ディスクを回転させるスピンドルモータの回転制御,光ヘッドのフォーカス/トラッキング制御,目的の位置への探索制御(seek),再生信号からのデータの復号,システムインタフェースなどからなる.記録型は,再生専用ドライブに対し高出力レーザーヘッドとLD(laser diode)ドライバー,フォーマッタ,記録信号系が必要となる.

図30・25

図30・26にDVDプレーヤのブロック構成を示す.図30・25の光ディスクドライブ(再生専用)の機能に加え,映像および音声用のデコーダやビデオプロセッサなどが必要である.DVDレコーダでは,図30・26に対し,オーディオ/ビデオエンコーダ,高出力レーザヘッドとドライバー,フォーマッタ,記録信号系などが必要となる.

図30・26

30・4・2 CD系のフォーマット

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