ラマン散乱の物理的起源は分子の内部振動による核の運動,または,単位結晶に対するイオンの運動による物質の誘電テンソルの変化にある.誘電率は物質のほかの性質に対するゆらぎにも影響を受ける.熱力学的起源を持つこれらのゆらぎは光の非弾性散乱も引き起こす.たとえば,誘電率が物資の密度に依存する場合では,どんな物質でも必然的に密度の熱力学的ゆらぎは存在する.もし,局所的な密度のゆらぎがあれば,誘電率の変化は,次式で与えられる.

式10・25

物質のある特定の変位点の熱ゆらぎによる変位をδρ(r,t)とすると,誘~IZ率変化は以下のように書ける.

式10・26

もともとの誘電率が等方的な場合でも,その誘電率の変化δεをテンソル量とみなし,α,β座標の交換に対して対称・非対称な二つの変位微分の組合せで展開する.

式10・27a

が対称成分を与え,

式10・27b

が,反対称成分を与える.剛体の,全体としての回転は式(10・27b)で表される.もし,剛体がベクトルnの周りを微小角dθ回転したとし,単位方位ベクトル式ページ7iとすると,式ページ7iiと書くことができる.微小体積部分の形状の変化は,弾性理論において張力テンソルと呼ばれる.テンソルを用いて以下のように表される.

式10・28

テンソルkαβγδは弾性光学テンソルと呼ばれる.γとδの変換のもとで,このテンソルは不変である.もし,もともと等方的な物質なら,dVの剛体回転は物質の誘電率を変えないことは自明である.しかし,非等方的な場合,dVの剛体回転は誘電率テンソルに変化を引き起こす.実験室座棋の固定した座襟軸に対して,主軸が回転しているとき誘電率は以下のように変化する.

式10・29

ここで,λαβγδはγとδの交換のもとで反対称である.幾何学的に考えると,kαβγδは回転していない物体の誘電テンソルの成分に関係づけられることが示される.

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