5・3・1 場の量子化と光子数状態
式(5・5)式で1個のモードだけを取り上げて,電磁場の時間変化を表す関数b,b*を
の関係によって実変数p,qに変換すると,モードを定めた空間内の電磁場のエネルギーは,
で表される.これは質量1,運動量p,座標qを持つ粒子の調和振動子のエネルギーと同じ形をしているので,これと全く同じ数学的手続きにより量子化ができる.この場合,p,qはの交換関係を満たす演算子となる.また,b,b*の複素振幅a,a*も式(5・10)により[]=1の交換関係を満たす演算子となり,式(5・11)はエネルギー演算子を表すハミルトニアン
となる.ただし,はのエルミート共役を表す.の固有値すなわち許されるエネルギー値は
で与えられる.その固有状態をで表す.式(5・13)はエネルギーがを単位とする不連続な値しか取り得ないことを表し,この状態をエネルギーの粒子がn個ある状態と考えると都合がよい.これが光子の概念である.nは演算子の固有値でもあるから,を光子数演算子という.を光子数状態またはフォック(Fock)状態という.式(5・13)はn=0すなわち光子がなくてものエネルギーが存在することを表す.これをゼロ点エネルギーといい,光のゆらぎの源にもなる.
演算子は
の性質をもつ.すなわち光の状態はにより光子数が1個少ない状態へ,により光子数が1個多い状態へ変わる.そこでを消滅演算子,を生成演算子と呼ぶ.
光子数nと光の位相φ(厳密にはn>>1でないと定義できないが)は互いに共役な物理量であり,不確定関係
が成り立つ.ΔnとΔφはそれぞれnとφのゆらぎあるいは観測に際しての不確定さを表す.光子数状態ではΔn=0であるからΔφ=∞となり,光の位相は全くわからない.
複数のモードが共存する場合は,電磁場のエネルギー値は
で与えられ,光子数状態は
で表される.
5・3・2 光のコヒーレント状態
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