レーザー発振器だけでは十分な光強度が得られない場合や,光通信のように伝搬中に被る損失を補う必要がある場合などには,レーザー増幅器が利用されている.増幅器には,発振器に使われているような,レーザー遷移元素による誘導放出を利用するタイプだけではなく,非線形光学結晶のパラメトリック効果を利用したものや,ファイバー中での誘導ラマン散乱を利用したものなどもある.

本節では,誘導放出を利用した増幅器の特性を2準位のレート方程式により解析する.また,光パラメトリック増幅器およびファイバーラマン増幅器の原理について簡単に述べる.

4・3・1 誘導放出を利用した増幅器の増幅特性

レーザー遷移元素を含む媒質を励起することで,特定のエネルギー準位間に反転分布状態を作ることができる.準位間のエネルギー差に相当する周波数のレーザー光が媒質内を通過することで,誘導放出がおこり,レーザー光は増幅される.このような増幅器の特性は,入射するレーザー光の強度,励起エネルギーおよび各準位の原子数密度の関係を記述したレート方程式および光子輸送方程式を解析することで記述することができる.

最も単純な例として,レーザー遷移に関係する2つの準位間のレート方程式を解析する.レーザー上準位および下準位の原子数をそれぞれ,NU,NLとする.また,各準位に蓄積されている原子の緩和時間(寿命)をτU,τL,誘導放出断面積をσとし,励起により増加する原子数の割合をP,入射レーザー光の強度をIとすると,レート方程式は次式のようになる.

式4・10

式4・11

式4・12

ここで,hはプランク定数,ωはレーザー光の周波数,cは真空中の光速である.

これらの式を解析的に解くことはできないので,差分法やルンゲクッタ法などの数値計算法を使って計算することになる.ただ,特定の条件を仮定することにより,解析的に解くことが可能になる.

[1] エネルギー蓄積型増幅器

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