レーザー応用の範囲は,きわめて広範にわたっている(25~46章参照).ここでは,レーザー応用の初期の歴史を簡単に述べる.

1960年にルビーレーザーやHe-Neレーザーが出現したときには,すでにメーザーの特性はよく知られていたので,レーザーの特徴は,その出力の空間的コヒーレンスと時間的コヒーレンスであることは明らかであった.そこでレーザー開発の当初から,レーザー光の指向性と単色性を空間的,また時間的に制御していろいろな応用が考えられていた.

たとえば1961年,量子エレクトロニクスの総合報告24)の終りに,光メーザー(レーザー)応用の可能性について次のように書かれている.(1)通信とレーザーについての記述の最後には,「また,工場の生産を遠方で制御したり,新聞や雑誌などの文献を図書館に行かず自宅にいて利用したり,電子計算機を遠隔使用したりすることなどもできるようになるだろう.」,(2)物性物理の研究についての末尾には,「赤外線や光周波数での量子エレクトロニクスに用いられる新しい材料や素子も見いだされ,工夫されるだろう.いつかは,赤外線周波数ではたらく”分子計算機”ができるかもしれない.」,そして(3)超高温炉・精密加工については,レーザー加工や熱処理のほか,「メーザーの光を集束すれば,顕微鏡で見られる細胞の持定の部分だけを加熱したり,刺激したりすることができる」,さらに(4)その他の項では非線形光学とそれを応用した光回路素子や回路技術に言及している.

また1962年のBusiness Weekでは,レーザー応用についてより具体的に,レーザー通信,レーザー測距,レーザー兵器,レーザー医学,レーザー計測と制御,レーザー切断と溶接,レーザー化学および基礎研究をあげている25).その後のレーザー技術の進歩に伴って,これらのレーザー応用はそれぞれ現実のものになっていった.1962年には,早くも月のレーザーレーダ測距がMITで成功し,1963年には人工衛星のレーザートラッキングも始められた.1962年にドップラーレーザー速度計が作られ,その後はレーザー光の干渉を応用した測長器など,いろいろのレーザー計測技術が開発された.レーザーのパルス光による高速度写真も1962年に始まり26),1968年にはピコ秒の撮影もできるようになった27)

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