超高強度場物理(ultra-high field physics)とは

チャープパルス増幅法の発明に代表される.小型フェムト秒レーザー技術の進歩により.物質に直接きわめて高い電界を比較的簡単に印加することが可能になってきた.たとえば,市販のエネルギー100 mJ,パルス幅50 fsのレーザー光を放射面鏡で直径10 μmに集光すると,強度3×1018 W/cm2となり集光面での電界強度は5×1012 V/mにも及ぶ.このような高強度電界が印加された物質中では,外場であるレーザー電界が原子内電界よりはるかに強く,電界による電離現象,電子の加速および減速,それに伴って生じる硬X線領域に及ぶコヒーレントおよびインコヒーレント短波長光の政射,電子とイオンの荷電分離により生じた静電ポテンシャルによるエネルギーMeVのイオンの加速などが起こる.特に,レーザー照射強度が1018 W/cm2以上で著者になる電子の運動の相対論効果により,種々の新しい物理および利用研究が開かれようとしている.これらの,まだ発展の途上にある市強度レーザーと物質との相互作用に附する物理が超高強度場物理である.