多層膜コートグレーティング(multilayercoated grating)とは

多層膜をグレーティングファセット面上に形成し,多層膜の反射波長とグレーティングの回折波長とをマッチングさせたもので,従来斜入射用の分光素子しかなかったEUV~X線領域において,直入射領域で分光効率が得られるのが特徴である.今後,天体観測や光電子分光などの計測分野での活用が期待されている.高効率化のためにはさまぎまな条件があげられるが,高反射率の多層膜作製には各膜厚の高精度制御や界面粗さおよび表面粗さの低減が求められる.また基板となるグレーティングには溝形状および間隔の正確性やファセット面粗さ低減が求められるが,特にファセット面粗さは直接多層膜の面粗さにも関係するため,面粗さ低減のためのさまざまな試みがなされている.