シンクロトロン放射(synchrotron radiation)とは

相対論的な高エネルギーの荷電粒子が磁界中を運動するとき,速度と直交する加速度を受けて放出する電磁波(光).荷電粒子の進行方向の周りの狭い角度の範囲に分布して放射される.荷電粒子のエネルギーにもよるが,電波からX線までの広大な連続スペクトルを持つ.シンクロトロン軌道放射光,放射光,SR,SORとも呼ばれる.シンクロトロン放射は,高エネルギーの素粒子実験用加速器の立場からするとやっかいなものであったが,逆にこれを積極的に利用した分野が政射光科学として発展した.現在では蓄積リングを有する放射光専用施設が多数存在し,物質の構造解析,微細加工,微細分析,光化学反応,表面界面解析など幅広い分野で利用されている.