自由空間レーザー通信(free space laser communications)とは
大気圏も含む宇宙空間において,人工衛星間および人工衛星と地上間をレーザー光線に情報信号を乗せて通信をおこなうための通信技術である.21世紀の大容量グローバルネットワーク構築のため,さらに人類の宇宙開拓活動,深宇宙探索のための将来技術として期待されている.人工衛星間のレーザー通信には,レーザー光線がマイクロ波にくらべてきわめて指向性に優れている(レーザー光線の発散が少ない)ため,レーザー光線の強度を効率的に利用でき,また数千キロから数万キロに及ぶレーザー光線の通り道である宇宙空間は真空であるため,散乱や吸収などの強度減衰はなく,また信号波形のひずみもないという特徴がある.技術的ブレークスルーとしては,レーザー光線の送出方向をつねに相手衛星に正しく向け,相手衛星からのレーザー光線を安定に受光する点であるが,郵政省通信総合研究所,宇宙開発事業団,米国のNASA(National Space Agency)およびJPL(Jet Propulsion Laboratory)などの国内外の研究機関による技術開発により,この点も克服されつつあり,実際の衛星間における光通伝実験の計画も進行中である.