量子ゼノ効果(quantum Zeno effect)とは

頻繁な観測によって量子系の遷移が抑制あるいは禁止される現象をいう.古代ギリシャの哲学者Zenoの有名なパラドックス「飛ぶ矢は飛ばず」にちなんで名づけられた.watched-pot効果とも呼ばれる.選移の過程で生ずる準位間のコヒーレンスの消去が本質的に効いており,観測以外のデコヒーレンス効果によっても生じる.古典的な系においても対応する効果が存在し,振動波動系において普遍的に見られる現象である.観測による射影の方向をしだいに変化させることで,本来静止している系の状態を誘導することもできる.これを,逆量子ゼノ効果と呼ぶ.